2020.04.08
1000年前から愛される食材
7世紀後半から8世紀後半にかけて編纂された、
現存する日本最古の歌集「万葉集」
昨年発表された新元号「令和」の出典でもあることは
記憶に新しいと思います。
恋や宴、旅先でのことを題材にした歌が多い中、
その当時の「食」について詠まれた歌を見つけました。
醤酢(ひしおす)に 蒜(ひる)搗(つ)き合(か)てて 鯛願う
我にな見えそ 水葱(なぎ)の羹(あつもの)
酢(す)…米を蒸して作るお酢。
醤(ひしほ)…もろみのようなもの。醤油の原型。
蒜(ひる)…ニンニクやらっきょうなど香辛性のある野草。
鯛(たひ)…魚のタイのこと。
水葱(なぎ)…植物のミズアオイの別名。
羹(あつもの)…スープ、吸い物。
第16巻に記されている長意吉麻呂(ながのおきまろ)が詠んだ歌です。
醤に酢を入れ、ニンニクを潰して和えた鯛のなますを
食べたいと願っている私に、
ミズアオイの吸い物なんて出さないでほしい
という意味の歌で、
流通の発達していない古代では鯛は最高のごちそうだったようです。
1000年以上人々に愛されてきた鯛。
現在でも「真鯛」は高級魚の1つとして人気の食材で、
桜の咲くころに旬を迎え、身体の色が桜色に染まることから
別名「桜鯛」とも言われています。
春は真鯛の旬の時期。
桜香る真鯛を春の日差しを感じながら楽しみませんか。